日本のありがとう

ありがとうの語源

ありがとう」は、感謝を表すことばで、形容詞「有り難し」の連用形アリガタクがウ音便化したものです。「有り難し」は文字どおり「有ること」が「難い」とされ、本来は「めったにない」や「珍しくて貴重だ」という意味を持っています。それが、仏教が伝来された後の中世になり、仏の慈悲にあたる「貴重で得難いものを自分は得ている」ということに因み、宗教的な感謝の気持ちを言うようになったとされています。これは「他人から何かしてもらうことは、めったにないことで、有り難いことなんだよ」という解釈ができます。以前は、「かたじけない」が感謝を表す言葉として用いられていたようですが、江戸時代の近世以降、感謝の言葉として「ありがとう」が一般に広がったとされています。   

山口佳紀編(2004)「暮らしのことば語源辞典」講談社 | 神永曉編 小学館国語辞典編集部「日本国語大辞典第二版」小学館

お辞儀の姿勢

仕事の打ち合わせで会社を訪問した際の帰り際、その社員の方々がエレベータの前で深々とお辞儀をし、ドアが閉まるまで長らく頭を上げないでいることに驚いたことがあります。私たちもお辞儀をしているので、端から見れば異様な光景かもしれませんが、その短い10秒間で相手の仕事への誠意が伝わり、会社の好感度へとつながりました。 礼とは、相手を敬う心、誠意が動作や言葉などに現れることです。その中で頭を下げる動作がお辞儀にあたり、相手に向かって腰を折り曲げることで挨拶、お礼、謝罪の行為として用いられています。お辞儀には、大きく分けると3種類あり、状況により使い分けることができます。

横山験也著(2010)「行儀作法の教科書」岩波ジュニア新書

お辞儀

会釈(15度)- 人とすれ違うときなど日常で使用するのお辞儀。

普通礼(30度)- ビジネス上で使用するのお辞儀。

最敬礼(45度)- 敬意や謝罪の意を表わす際に使用する丁寧なお辞儀です。

       

ありがとうの方言

熊本に住む祖父のお通夜の日、祖母が「ちょうじょう、ちょうじょう」と連発していて「ショックのあまり”蝶々”の幻覚が見えているのか」と思っていたら、後に感謝の言葉だったことを知りました。このように日本には地域によって、さまざまな「ありがとう」の表現があります。

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さらに詳しい地図

国立国語研究所による方言文法全国地図−第5集―表現法編2―(2002年刊) 第267図ありがとう―短い形― 地図より

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さらに詳しい凡例

国立国語研究所による方言文法全国地図−第5集―表現法編2―(2002年刊) 第267図ありがとう―短い形― 凡例より